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鋳鉄の種類とその性質・・・1 忘れたらアカン ものづくり

忘れたらアカン、ものづくり のブログを書いている、マーシーです。

今日は、鋳鉄の種類と性質について、一番よく使われているねずみ鋳鉄の
ことを考えて見ましょう。

■鋳鉄の種類と性質
 鋳鉄をその製造方法で分類すると、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、可鍛鋳鉄、
CV鋳鉄、特殊鋳鉄に分類されます。


■ねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄)

 1.ねずみ鋳鉄の性質
   ねずみ鋳鉄は、古代から生産されてきた鉄系鋳物の素材であり、現在でも鋳鉄
  の全生産量の過半数を占めています。その特性は、主としてその組織中に存在
  する黒鉛に依存していますので、まずこの黒鉛がどんな役割を演じているのかを
  調べてみましょう。

   黒鉛はグラファイトとも呼ばれ、炭素の結晶体です。木炭やすすは結晶体では
  なく、原子配列は不規則なものです。黒鉛を人工的に作るには、炭素質の物質を
  二千数百度まで加熱する必要がありますが、この炭素が溶鉄の中に溶けますと、
  もっと低い凝固温度(1145℃)で結晶の形で晶出されます。不思議な現象ですね。

   黒鉛の比重は、約2.3で軽くて弱いものです。 これが鋼と同じ基地の中に分散
  しているところに、ねずみ鋳鉄特有の性質がを示すようになります。まず凝固時
  にこれが晶出しますと、比重が小さい分だけ膨張することです。一方、基地の部
  分は収縮しますから、その差異分だけ収縮は小さくなり、押湯の設計について
  あまり苦労せずに鋳物が作れます。この膨張量は黒鉛量が増えるほど大きくなる
  わけですから、C%が共晶点近くになりますと、鋳物の収縮はほとんどなくなり
  ます。この点から、ねずみ鋳鉄は鋳造性がよいといわれるのです。

   鋳物製品となってからも、黒鉛はいろいろ有効な役割をします。耐摩耗性(潤滑
  摩耗)性が優れていること、被削性がよりよいこと、振動吸収能が大きいこと、水
  に対する耐食性が鋼よりも優れていること、熱衝撃に強いことなどが、ねずみ鋳鉄
  の特性としてあげられますが、 これらの特性には、黒鉛の存在が大きく寄与して
  います。
   摩耗しにくいという性質は、基地が適当に硬くなっていることが要因ですが、
  黒鉛が潤滑剤的な役目を果たすことも寄与しています。被削性に対する黒鉛の影響
  は、刃具の切削抵抗を減らし、仕上面を平滑にする効果があります。また切粉
  (削りくず)がカールして長くならず、細かく分断するので、その後始末が容易
  です。振動吸収能というのは、例えば工作機械など作動中の振動を嫌う機械類に
  有効な性質です。耐水性については、最近は減りましたが、地中に埋設される水道
  用配管に鋳鉄管がよく使われていました。これは鋼管に比較して錆に強い性質が
  あるからです。ただし、水道管は強じん性も要求されるようになりましたので、
  現在は次項で述べる球状黒鉛鋳鉄製のものに置き換わっています。熱衝撃に強い
  という性質は、インゴットケースのように繰返し急速加熱されるものに適用されて
  効果をあげています。基地の急速熱膨張を黒鉛が吸収してくれるためだとされて
  います。
   以上のように片状黒鉛の混在は、鋳鉄に多くのよい性質を与えてくれますが、
  反面鋳鉄の強度を低下させ、 じん性を弱めるという製品にとって良くない作用も
  します。黒鉛同士の先端が接近し、力を加えるとその部分にひびが発生しやすく
  なるためです。

   一般に金属材料の性質として第ーに着目されるのは、 この強じん性です。
  それがあまり良くないというのですから、ねずみ鋳鉄の価値はそれだけ低下する
  といわざるを得ません。そのため鋳鋼のようにじん性の大きい材質の鋳物が生産
  されています。しかし強度の点から考えると、ねずみ鋳鉄は強度低下の度合いは
  割合に小さく、アルミニウム合金以上の強度はあります。また、 じん性が劣る
  といっても、叩けばすぐ割れてしまうというほど、もろくはありません。強い
  衝撃を受けるような場合だけ、問題にしなければならないと考えればよいでしょう。
   FC材の強じん性があれば、十分に使用に耐える製品もたくさんあります。
  原材料も安価であり、その上に黒鉛の有効性が加わりますので、ねずみ鋳鉄は、
  それなりの利用価値のある鋳物用素材なのです。


 2.ねずみ鋳鉄の規格
   御存じと思いますが、金属材料の強じん性を示す一連の性質を機械的性質と
  いいます。これを知る目安となるのが日本工業規格(JIS)です。]ISで規定された
  ねずみ鋳鉄の機械的性質を抜粋したものを、表1に示します。記号FC(Ferrum
  Casting)は、ねずみ鋳鉄を意味します。ねずみ鋳鉄は 全部で6種類の規格が有り、
  ねずみ鋳鉄といっても多くの品種が有ります。FCの次の数字は、その規格が要求
  する最小引張強さの値(単位;N/mm2) を示します。


     表1.ねずみ鋳鉄品の機械的性質 (JIS G5501)

種類記号引張強さ抗折性ブリネル硬さ
N/mm(kgf/mm2)最大荷重;N(kgf)たわみ;mmHB
1種FC100100以上(10以上)7000以上(713以上)3.5以上201以下
2種FC150150以上(15以上)8000以上(815以上)4.0以上212以下
3種FC200200以上(20以上)9000以上(917以上)4.5以上223以下
4種FC250250以上(25以上)10000以上(1019以上)5.0以上241以下
5種FC300300以上(30以上)11000以上(1121以上)5.5以上262以下
6種FC350350以上(35以上)12000以上(1223以上)5.5以上277以下


   この引張強さが強度を代表する数値とみてよく、これが100より350まで50とびに
  分けられています。 この違いは金属組織の面からみると、主として黒鉛の量が多いか
  少ないかに起因するといえます。FC100とかFC150のような引張強さの低い品種は
  黒鉛量が多く、熱衝撃に強い黒鉛の特性を利用する用途に向いているものです。
  FC300、FC350などの引張強さの大きい品種は、黒鉛の特性も生かしながら、高強度
  であることも必要な製品に用いられます。しかし、黒鉛量を少なくしなければなりません
  から、凝固するときに収縮する量が大きくなって鋳物が作りにくくなります。近年は、
  より強じんな球状黒鉛鋳鉄あるいはCV鋳鉄が新しく出現しましたので、このクラスの
  品種はそちらに移行する傾向にあります。従って現在は、中間的な性質を持ち、鋳造性
  もよいFC200、FC250 クラスの品種が生産の主流を占めております。

 3. 黒鉛の形状と分布状態
   今まで述べたように、ねずみ鋳鉄の性質は黒鉛の存在が大きく影響しています。
  ここで強度に与える要因として考えなければならない要因があります。まず、同じ品種
  であっても冷却速度によってその形状が変わるととです。徐冷されると黒鉛の形状は
  粗大となり、急冷されると微細になります。黒鉛が組大化した鋳鉄の強度は低下し、
  微細化したものは強度が上昇します。鋳物の冷却速度を変える形状的な因子として、
  その肉厚があげられます。前掲の表1は、供試材の直径30mmにおける諸数値を抜粋
  したものですが、 JISでは肉厚の影響を考慮に入れて、FC150以下の品種に対して
  は、肉厚に応じて供試材の直径を変えた場合の、それぞれの合格値を規定しています。
  詳しくは、JISを御覧ください。

   なお、肉厚によって黒鉛の形状が変わることを肉厚感受性といい、ねずみ鋳鉄は
  この性質に対して敏感であるといえます。黒鉛が微細化した薄肉鋳物では、ときとし
  て局部的に黒鉛が晶出せずに、セメンタイト(Fe3C)という鉄と炭素との化合物が晶出
  することがあります。この状態を白銑化(チル化ともいう)といいます。白銑化した鋳鉄
  は白鋳鉄と呼ばれ、極めて硬く、ブリネル硬さ(HB)500ぐらいに達します。
   黒鉛の晶出を期待しているところに、 こういう硬い部位が発生するのですから、
  これも一種の鋳造欠陥です。もしこの部分を切削加工するとすれば、刃具を傷めてし
  まいます。白銑化しないようにする対策が必要です。それには溶解時の成分調整に
  十分注意を払うなど、適切な溶解作業を行うことが望まれます。

   それから、黒鉛の大きさが不揃いで、分布が不均等になることがあります。写真1
  にその例を示します。このような組織のものは強度が低下し、規格に合格しません。
  これも溶解作業に問題があったことに起因します。

   写真1: 黒鉛の大きさの不揃いな組織

fc ng

 4.基地の組織
   ねずみの鋳鉄の基地組織はパーライトです。 これは一般的な場合の現象で、
  ときにはパーライト中のFe3Cが分解してFeと黒鉛となり、パーライトが消失して
  しまうことがあります。 Feはα固溶体となり、黒鉛は既出の黒鉛に合体します。
  α固溶体を通常フェライトといいますので、こういう基地の鋳鉄をフェライト鋳鉄
  と呼びます。また黒鉛の周辺だけがフェライトとなり、パーライトも残存する場合
  もあります。基地のフェライト化はC、Siの含有量が多い場合、および厚肉部で
  冷却が特に遅くなる場合に起こります。
   フェライト化したものの強度は低下しますから、機械的性質を重視する場合
  には要注意です。実は共析変態でパーライトを生ずるのは、 Fe-Fe3C系の準安定
  平衡状態図に準拠した現象なのでして、Fe-C系平衡状態図に従えば、これは異常
  であってフェライトと黒鉛に分かれるのが当然といえるのです。


 5.ねずみ鋳鉄の組成
   以上で見たように、ねずみの鋳鉄の性質は広範囲に変化することを理解して
  頂けたと思います。この変化を生ずる基本的要因は、その組成にあります。

   まずCですが、鋳鉄ではCは2.8 ~ 4.4%の範囲にあり、品種によってこの範囲
  内でどのくらいにすればよいかを決めます。機械部品としての需要の多いFC200
   ~ FC250級のC量は3.0 ~ 3.5%程度です。 Si量はおおよそ1.0 ~ 2.5%の範囲
  ですが、この中間の1.5 ~ 2.0%程度が一般的です。また鋳物の肉厚によって、
  例えば、薄肉物ではSiを多目にするというように調節します。またC量との兼ね
  合いもあって、既述しましたようにCE (炭素当量)すなわち(C+1/3Si)%をいくら
  にするという調整法もよく採用されています。FC200、FC250級ではCE=3.8 ~
  4.0%が適当です。

   次にMnについて考えますと、Mnは基地組織をパーライト化にするのを助ける
  成分ですから、これは欠かすことができません。また、Mnの大部分はSiと同様に
  Fe中に固溶されますが、一部はSと化合してMnSになります。このMnSは粒状で顕微
  鏡で観察することができます。

   通常の鋼では有害元素となるP、Sの影響については、Pは硬さを増し湯流れを
  よくする傾向があります。但し、その含有量が多すぎると引け巣の原因になる場合
  があります。Sは材質を脆しく、その健全性を著しく害します。


   以上のようにねずみ鋳鉄の性質は、各成分の量によって大体のところは決まり
  ますが、成分の量だけが性質を確定する要因とはならないで、溶解条件も影響し
  ます。
   成分がこうだから、性質もこうなると決め付けることができません。 その
  ためにJISの表には、各品種に対する成分の量が記載されていません。このこと
  をよく留意して下さい。特に腐食環境で使用する場合は、同じ品種でも鋳造条件
  によっては、著しく腐食が進む場合もあります。







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